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ともぞうの性別放浪記 その5


11月5日に、渋谷区で制定された「同性パートナーシップ条例」に基づき、同性パートナーシップ証明書の発行が開始されました。
また、同じ日に世田谷区でも同性カップルからの「パートナーシップ宣誓書」の受付が開始されました。このことにより、日本でも少しずつではありますが、同性婚・同性パートナーシップの制定へ一歩を歩み出したと言えるのではないでしょうか。

とはいっても、まだまだ同性カップルに対する理解は不足していると言えます。特に、同性カップルのどちらかが入院した場合、不幸にも亡くなってしまった場合のトラブルはよく耳にします。それだけではなく、パートナーの親が終末期を迎えた場合のトラブルも存在します。

ある、長年連れ添っている同性カップルの親が終末期を迎え、医師にこれ以上延命処置をするかどうかの選択を迫られました。その場にいたのは子である当事者のみで、パートナーは長年連れ添っているにも関わらず、「他人」ということで、その場にいることは許されませんでした。
結局、その当事者は自分一人で大事な決断を下すことになりましたが、後で、パートナーがその場にいてくれたらどんなに心強かったか、と語っていました。
病院の考え方などによって、運用も違ってくるのでしょうが、「他人」であっても当事者にとっては大切な人かもしれない、といった視点をどこかに持っていていただけるとうれしいな、と思います。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、前回の続きです。
前回、性別変更に関する問題点として、生殖器を切除しなくてはいけないことをあげました。
そして、割と若い年代のトランスジェンダーが、戸籍変更をしたいが為に手術に走ってしまうという現象が起きています。
なぜ、「手術に走ってしまう」と書いたかと言うと、手術をする事によって生じるリスクや反対の性別になって社会生活がきちんと送れるのかどうかについて熟考せずに、とりあえず手術を受けて、戸籍変更してしまえば何とかなるのでは、という考え方の当事者が多く存在しているからです。

そういった当事者の多くは、自身が大学生の時にホルモン補充療法、性別再判定手術(性転換手術)を受け、就職活動時には自分の望む性別の戸籍になっています。そして、就職を自身の望む戸籍の性別でするのです。
それ自体は一概に悪いことではありませんが、一般的に学生から社会人になったときのギャップというのは結構あるかと思います。それに加え、自分が今まで社会的に生活してきた性別と別の性別で社会に出なければいけないという、プレッシャーも多くあるかと想像します。
基本的に、戸籍変更した当事者は他の当事者との接触を避けるようになるので、果たしてどれだけの人数が戸籍変更をしてしまって困っているのか、というのを知る術がありませんが人づてに聞くことはあります。

また、万が一本人が、実は「男性だと思っていたけど女性だった」「女性だと思っていたけど男性だった」と性自認が変化した場合、戸籍変更してしまった後では、もう一度元の戸籍に変更することも出来ません。
もし、女性から男性へと戸籍変更した当事者が、「やっぱり自分は女性だった」と思ったとしても、男性へと変更した戸籍をもう一度女性へ戻すことは出来ず、また、生殖器を切除してしまっているために、ホルモン補充療法は必須となります。

戸籍変更を考えるぐらいだから、そんな風に性自認がが揺れ動くことはないだろう、と思う方もおられると思います。ほとんどが、自身が身体の性別と自分が自認している性別が別の性別であるという、確固たるものを持っています。ですが、それでも人の性自認は揺れ動くこともあります。
また、「自分が男性である」、というよりも、「自分は女性が好きだから男性なんだ」という自認を持っている方もおられます。そういった方が、付き合っている彼女と結婚したいから自分は戸籍変更をして男になるんだ、という理由で戸籍変更をされる場合もあります。

せめて、生殖器を切除せずに戸籍変更出来るようになる、または同性婚や同性パートナーシップが認められる社会になれば、こういった不必要な手術をすることがなくなって、当事者の身体へのダメージも少しは避けられるようになるのかな、と思います。
それとともに、会社などに勤務していく中で性別移行をすることが許される社会になっていけば、就活前に戸籍を変えなければ、というプレッシャーが少しは減るのかな・・・とも考えていますが、そこに行き着くまでには、まだまだ遠いなと思わせる訴訟が起こりました。

次回は、経済産業省で勤務している手術がすんでいないMTF(男性から女性へ)の方の女子トイレ使用問題から、トランスジェンダーを悩ますトイレ問題、LGBTとひとくくりにされてしまう危険性などについてお話出来ればと思います。

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