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惚れた女のためならば―Eさんが性別を変える理由


Eさんは中学生の時、恋心を告白した同級生の女の子から「Eは女の子じゃん。私は男の子が好きだから」と言われたことをきっかけに「FTM」という言葉を知り、高校進学を機にトランスジェンダーの自助グループに通い始めた人でした。当時は髪もスポーツ刈りくらいに短くして、ジャージを穿き、一人称は「俺」。小柄ではありましたが、いかにも男アピールを頑張っている、といった風貌でした。

ただEさんはその頃から「恋愛に振り回される人」という印象の人でした。「好きな子に好きになってもらうためなら何でもするっていう気概が大事ですよね」という本人の言葉通り、Eさんは中学生の頃から好きになった女の子に積極的にアプローチしていたそうです。

好きな女の子のお気に入りのアイドルのことを調べて「自分も○○イケてると思ってるんだよね」と共通の話題を作る。好きな女の子がよく聞く歌手の曲を覚えてその子の前でカラオケで披露する。好きな女の子の登校時間に合わせて起きる時間を調整する、等々。

Eさんの恋愛活動は高校生になっても続きました。好きな女の子が「会いたい」と言えば友達との約束を放り出して会いに行く。好きな女の子が「授業終わるの待っててくれる?」と言えばアルバイトを休んで下校を待つ。好きな女の子が「このブランドにハマってる」と言えばそのブランドの服や小物を買って身に付ける、等々。

振られたり心変わりしたりを繰り返し、好きな女の子は数ヵ月から半年くらいで入れ代わり立ち代わりしましたが、Eさんは常に好きな女の子に気に入られようと努力していました。告白した相手の中には「Eが男だったら考えるけどね~」と言った人もいたそうです。Eさんは「もっと男らしくするように頑張るから自分と付き合って」と食い下がりましたが、なかなか思うような関係には発展せず、自助グループで「もっと男らしくなるにはどうしたらいいですか?」と質問しては研究を重ねていました。

そんなEさんが高校卒業間際に知り合って好きになった女性は、レズビアンでした。そこでEさんの転換が起こります。「今までヘテロセクシュアルの女の子ばかり好きになっていたから、男らしくなって自分を好きになってもらおうとするのが当たり前だった。でもレズビアンの女性に好きになってもらうにはどうしたらいいんだろう?」

結果、Eさんは髪を伸ばし初め、スカートを穿くようになり、化粧を覚え、男らしい言葉遣いを止め、数ヵ月に及ぶすったもんだの挙句、レズビアン女性と恋人同士になることに成功しました。数年後海外に渡ったEさんは、現地でレズビアンマザーの女性と子供と暮らすようになり、現在は周囲からもレズビアンカップルとして認識されているそうです。

「好きになった相手の好みに合わせて自分を変える人」はたくさんいます。音楽のジャンルや服のブランドや髪形、お気に入りの俳優や作家や食べ物など。Eさんにとってセクシュアリティはそれと同列だったのだと思います。「好きになった相手の好みに合わせて性別を変える」というスタンスは聞き慣れないかもしれませんが、実はEさんに限らず珍しいことではありません。

もちろん、ホルモン注射や外科手術、改名や戸籍変更は不可逆的な作業なので、慎重になるに越したことはありません。しかし「自分の性自認通りに生きることが最優先で最大幸福」かどうかは人によるということを、私達は知っておくべきだと思います。

(サポーター)

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