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どんな性別にも大変なことはある―FTX自認のDさんの例


「自分は女性という社会的立場を押しつけられてきて苦しんできた」。そんな思いを抱えている人に出会ったことがあります。ここではFTX自認のDさんの例を挙げます。

DさんはXジェンダーという言葉がメジャーになり始めた頃、「自分はFTXです」と言って自助グループに来た人でした。女物の服を着て、髪はセミロングで、カムアウトせず女性として就労しており、ホルモン注射も外科手術も名前の変更も戸籍の変更も希望しない、パートナーは男性という、ライフスタイルとしてはシスジェンダーヘテロセクシュアル女性と同じ立場を取っていました。

しかしDさんはいつも「自分を女性扱いする社会」に対して怒っていました。「電車で女性だからって席を譲られた。私は女性じゃないのに」「会社で女性だからって差し入れをもらった。私は女性じゃないのに」等々。

「そうなんだ、嫌なんだね」と話を聞きながら数ヵ月経つと、徐々にDさんについての認識は変わって行きました。Dさんは現状を変えたくないのではないかと思うようになったのです。

善し悪しは別にして、現在の社会では、女性扱いされたくなければ男性的な外見や立場を得るしかありません。そのためには、例えば男性ホルモン注射で男性的な外見を手に入れたり、会社と交渉して男性社員として扱ってもらうように頼む必要があります。

しかしDさんは「女性扱いされる苦痛」は訴えても、「ではどうやって解消するか」についてはほとんど興味を示しませんでした。現状を変える気はないけれど、「女性扱い」されない安全な自助グループで怒りを発散させてガス抜きをしている。私はDさんに対してそう考えるようになりました。

実際のところ、ガス抜きは悪いことではありません。例えば男性ホルモンの副作用や、会社と交渉することで失職する可能性を考えれば、現状維持のまま特定の場所でのみ愚痴を吐いてすっきりする、というのもひとつの選択肢です。

しかし、であれば、シスジェンダーヘテロセクシュアル女性と同じライフスタイルを取っている自分に責任を持たなければならない。シスジェンダーヘテロセクシュアル女性として不当な扱いがあるなら、自分の性自認とは別に、シスジェンダーヘテロセクシュアル女性として対処しなければならない。Dさんにはその覚悟が足りないように思えました。

性自認に従ってライフスタイルを選択する必要はまったくありません。しかし選択したライフスタイルにつきまとう問題を自分で引き受ける強さは、どんなセクシュアリティであれ必要だと思います。

(サポーター)

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