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自分のセクシュアリティを決め付ける前に


セクシュアリティは他人が決めるものではありません。その時々で自分の言い方や実感が変わることがあっても、それは責められるものではありません。

ある人(以下Bさん)を例に挙げます。Bさんは生まれてから50年以上、ヘテロセクシュアル女性として生きてきた人でした。しかし50代の半ばになって、知人に連れられてゲイ男性以外も入店できるゲイバーに行ったところ、それまでにない楽しさを感じたそうです。そこでBさんは「ゲイ男性と一緒にいてこんなに楽しいのは、自分もゲイだからだ。自分は女に生まれたゲイなんだ」と考えました。

GID特例法が成立する以前のことです。Bさんは書籍やインターネットを通して「FTMゲイ」という言葉を見付け、自分はこれだと確信しました。そしてトランスジェンダーの自助グループに参加して、自分の実感を確認しようとしました。

しかし自助グループで出会ったトランスジェンダーは、Bさんの思っていたような人達ではありませんでした。Bさんの目には、男性のくせに化粧をしてスカートを穿いている人、ボーイッシュな女性にしか見えないのに一人称が「俺」の人、と映りました。どうすれば女性に見えるか男性に見えるか、どこの病院で手術したか、ホルモン注射によってどんな変化があったか、誰にどこまでカムアウトしているか。そんな話題が中心で、Bさんがゲイバーで出会ったゲイ男性のようにオネエ言葉で話すこともなく、お洒落でも知的でもウィットに富んでいるわけでもありませんでした。

Bさんの失望は自助グループのメンバーへの怒りになって表れました。Bさんはメンバーに「女装した男性に見えるからあなたは男性です」「女性のくせに男性みたいな格好をして恥ずかしくないんですか」などの発言をするようになりました。

そんな状況がしばらく続きましたが、Bさんは自助グループへの参加を止めませんでした。時間をかけて他のメンバーの話を聞き、自分との違いを確認し、自分で答えを出そうと努力していました。最終的にAさんは「自分はゲイ男性と一緒にいると楽しいと感じるヘテロセクシュアル女性だ」と納得し、自助グループを去って行きました。

Bさんに暴言を吐かれた自助グループのメンバーには災難でしたが、Bさんが安易に「自分はFTMゲイです」と言って病院に行かなくて良かったと思います。いろんなトランスジェンダーに出会うことなく病院に行っていたら、もしかしたら必要のないホルモン注射や胸オペや性器の手術をすることがあったかもしれません。

自分の実感を言葉にするのは大変な作業ですが、時間がかかっても、孤独感があっても、自分で自分のセクシュアリティを決めて、その上でどうやって生きて行くか考えること。その力を付けることが大切です。

(サポーター)

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